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2013年 気になった事件大賞

2013年12月27日(金)11:47 AM

今年も残すところあとわずかになりました。



今年もいろいろな事件がありました。



 

 


当ブログでも紹介した


「非嫡出子の民法違憲を認める最高裁判断」


(最高裁H25.9.4判決)






「ハズレ馬券の必要経費認める地裁判断」


(大阪地裁H25.5.23判決)



 

 

 

「非上場株式の評価をめぐり、

 

25%基準は合理的でない高裁判断」


(東京高裁H25.2.28)

 

 

 

 


などなど・・

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 


そんな中、今年最後のブログは


2013年に最も気になった事件の1つを紹介します。





紹介するのは、税理士にとっては

 

世にも恐ろしい事件です・・・





 

 

 

 


事件タイトル:


「税理士の相続人に対して


損害賠償認める。


申告時の内容を確認するのは、


その時でしょ!」





 

 

 



事案:


税理士が相続税の申告手続きの委任を受ける。


税務調査が入り、海外の財産があることが判明。


相続税1億7千万円+加算税・延滞税を追加納付する。


これについて、相続人は税理士に確認、調査の不足が


あったとして、当時申告をした税理士の相続人


(税理士は訴訟継続中に死亡)に対して


委任契約の債務不履行に基づき、


1億円以上の損害賠償を請求した。




 

 

 

 

 

 


東京高裁の判断:


税理士は委任を受けたときは、専門家として、


高度の注意を持って委任事務を行う義務がある。


(「善管注意義務」といいます。)


当該税理士は、海外に資産があることを


認識していた可能性高い。


もらった資料が不十分なときは、追加資料を請求したり、


不適切な点は是正する必要がある。




よって善管注意義務違反があるので、


税理士の相続人に損害賠償を認める。




このときの税理士の相続人の気持ちは


どうだったでしょうか・・


想像しただけでも寒気がします・・





 

 

 

 

 

 

 

 

ただし、この事件については、


申告をした相続人本人も、


被相続人に海外財産があることを


しっており、それを税理士に伝えて、申告書に


反映できたとして、損害賠償額の3割減を認めました。



結果、税理士に対して、7,400万円を賠償すべきと判断しました。




 

 

 

 


それでも、7,400万円を支払うことになったのです・・



 

 

 

 

 

 

 

 



この判決を知ってか知らずか。


平成25年から「国外財産調書」制度が創設され、


海外に5000万円超の財産を保有している個人の方は


税務署に調書を提出することになりました。




 

 

 

 

 

 

 

 


 

 


会社の社長や病院の院長と仕事をさせていただくと


お客様にいい顔したいという虚栄心が生まれることがあります。



 

仕事に慣れてくるとなんとかなるだろうという

 

慢心が生まれることがあります。

 


 

 

 

 

 

もちろん上記判例の税理士は


そうでなかったと思います。




 
 

 
 
 

それでも、判決で述べているように



「専門家として高度な注意をもって


委任事務を処理する義務を負う」





 
 
 
 
 
この自覚をもって仕事に臨まないと


取り返しのつかない「倍返し」を


もらうことになるのかもしれません・・




 
 
 
 
 
 

それを肝に銘じて今年を締めくくりたいと
 
 
思います。


 
 
 
 
 
 

今年もお疲れでした!



 
 

(郡司)