日本医師会の税制改正要望
税制改正にあたっては、関係団体からの改正要望が出ることもしばしばです。
もちろん全ての要望が反映されるわけではありませんが、
自動車業界が、自動車取得税の廃止を訴えたり、
飲食業界が、消費税の軽減税率の制度導入に賛成するなど、
それぞれの業界が税制上の不利益を被ることのないよう、
必死にアピールをしています。
先日、日本医師会も「平成27年度医療に関する税制改正要望」として、
全26項目を公表致しました。
上述の通り、全ての要望が認められるわけではありませんが、
有利な改正が進むことを期待したいところです。
さて、これから数回に分けて、代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。
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第一回 「消費税の還付請求を認めよ!」
収入の多くを社会保険診療報酬が占めている病院はとても多いかと思いますが、
社保報酬は、国民福祉の観点から消費税が「非課税」とされています。
こうした制度が病院経営を圧迫しているのでは?というのが、この問題です。
そもそも消費税は、預かった消費税から、
自分が支払った消費税の差額を納付するという制度です。
例えば、税込864円(税64円)で商品を仕入れて、
税込1,080円(税80円)でお客さんに売上げたとしましょう。
消費税の金額に着目すると、
まず仕入れの際に、64円の消費税を支払っています。
一方で売上げの際に、80円の消費税を受け取っています。
つまり、64円の全額をお客さんが負担してくれているので、
預かりすぎた16円を納付するのが消費税の仕組みです。
80円はお客さんから預かっているものですので、
こちらが負担する消費税は実質的には0円ということになります。
しかし、医院の場合はこれができず問題となっています。
上の例の売上げを、社保診療報酬として考えてみます。
税込864円(税64円)で医療品を仕入れて、
患者さんなどから1,000円(非課税)の診療報酬を受け取ったとします。
消費税の金額に着目すると、
まず医療品仕入れの際に、医院は64円の消費税を支払っています。
これは上の例と同じです。
一方で売上げに注目してください。
社保診療報酬は非課税のため、患者さんなどから消費税を受け取っていません。
つまり、64円は医院の負担になってしまっているのです。
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「国民福祉のためとは言え、これはいくらなんでもおかしいんじゃないの??」
日本医師会の主張はここにあります。
今後消費税が10%になれば、
それだけ医院の資金繰りを圧迫することにもなりかねません。
患者さんの負担を増やすことなく、
医業経営の改善に資するような消費税還付制度の改正が望まれます。
次回は、がん検診と医療費控除について紹介します。
上述の通りですが、こちらの税制はあくまで「要望」です。
決まったものではありませんので、十分にご注意下さい。
現在のルールの中での節税については
中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!
(記事・うすくら)
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