空き家と固定資産税
住宅の需要と供給のバランスを保つため、
税を通じたいろいろな措置が講じられています。
例えば所得税では、いわゆる住宅ローン控除や、
住宅とその土地の売却利益の非課税枠などが用意されています。
住宅は生活する上で必要不可欠なものですから、
税金も安くしましょうというのが、
住宅税制の基本的な考え方です。
一方、住宅ではないもの、
例えば店舗としての建物や、
短いスパンの売買目的で保有している土地については、
上の住宅特例が使えなかったり、
重課されているケースが多くなっています。
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こうした、住宅優遇税制は所得税に限ったことではありません。
今回のテーマである固定資産税でも、基本的なスタンスは同様です。
例えば固定資産税では、
住宅用地の軽減税率が定められており、
住宅用の土地は、固定資産税が安く計算されるようになっています。
土地の面積などにより軽減率は変わりますが、
更地の場合と比較して、最大で1/6程度の税金で済む場合もあります。
人がすんでいる土地に重い税金をかけて、
税金のせいでその人の生活が困難になってしまうことがないよう、
固定資産税でも優遇税制が設けられているわけです。
さて、ここで問題となっているのが、
空き家の土地に対する固定資産税です。
現在の法律では、
上に立っている建物が空き家であったとしても、
その土地には上記の優遇税率が適用されています。
人が住んでいなくても、空き家さえ建っていれば
土地の固定資産税を安く抑えられるという仕組みです。
街を歩いていると、
ずっと取り壊しされない空き家が建っていたりしますが、
一つの要因として、この固定資産税が影響しているといわれています。
相続などで空き家と土地を引き継いだのはいいものの、
空き家を壊して更地にすると、
優遇税制の対象外となってしまい、固定資産税の負担が増加します。
「取り壊し費用もかかるし、税金も上がっちゃうなら、
じゃあそのままにしておこうか」
こうして、あえて取り壊されない空き家が増えているのです。
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空き家は街の治安などの観点からも
あまり好ましいものではないので、
各市区町村も空き家条例などを制定して、
空き家取り壊しを推進しています。
こうした流れを受けて、
総務省は、来年度の税制改正要望に、
空き家に対する軽減措置の見直しを盛り込みました。
この制度改正が行われれば、
空き家の土地には、更地と同様の税金がかかることになります。
また、空き家の解体を促進するため、
自民党から空き家に関する法律が提出される予定です。
案では、空き家に対する住宅優遇税率の不適用や、
空き家を解体した場合の新優遇税制の整備などが盛り込まれているようです。
今はあえて空き家を解体しないことで、
税金を抑えることができますが、
今後は難しくなっていくかもしれません。
相続などで引き継いだまま空き家をお持ちの方は
今後の改正に注意していきましょう。
相続、法改正にも対応します。
中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!
(記事・うすくら)
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