2013年 気になった事件大賞
今年も残すところあとわずかになりました。
今年もいろいろな事件がありました。
当ブログでも紹介した
「非嫡出子の民法違憲を認める最高裁判断」
(最高裁H25.9.4判決)
「ハズレ馬券の必要経費認める地裁判断」
(大阪地裁H25.5.23判決)
「非上場株式の評価をめぐり、
25%基準は合理的でない高裁判断」
(東京高裁H25.2.28)
などなど・・
そんな中、今年最後のブログは
2013年に最も気になった事件の1つを紹介します。
紹介するのは、税理士にとっては
世にも恐ろしい事件です・・・
事件タイトル:
「税理士の相続人に対して
損害賠償認める。
申告時の内容を確認するのは、
その時でしょ!」
事案:
税理士が相続税の申告手続きの委任を受ける。
税務調査が入り、海外の財産があることが判明。
相続税1億7千万円+加算税・延滞税を追加納付する。
これについて、相続人は税理士に確認、調査の不足が
あったとして、当時申告をした税理士の相続人
(税理士は訴訟継続中に死亡)に対して
委任契約の債務不履行に基づき、
1億円以上の損害賠償を請求した。
東京高裁の判断:
税理士は委任を受けたときは、専門家として、
高度の注意を持って委任事務を行う義務がある。
(「善管注意義務」といいます。)
当該税理士は、海外に資産があることを
認識していた可能性高い。
もらった資料が不十分なときは、追加資料を請求したり、
不適切な点は是正する必要がある。
よって善管注意義務違反があるので、
税理士の相続人に損害賠償を認める。
このときの税理士の相続人の気持ちは
どうだったでしょうか・・
想像しただけでも寒気がします・・
ただし、この事件については、
申告をした相続人本人も、
被相続人に海外財産があることを
しっており、それを税理士に伝えて、申告書に
反映できたとして、損害賠償額の3割減を認めました。
結果、税理士に対して、7,400万円を賠償すべきと判断しました。
それでも、7,400万円を支払うことになったのです・・
この判決を知ってか知らずか。
平成25年から「国外財産調書」制度が創設され、
海外に5000万円超の財産を保有している個人の方は
税務署に調書を提出することになりました。
会社の社長や病院の院長と仕事をさせていただくと
お客様にいい顔したいという虚栄心が生まれることがあります。
仕事に慣れてくるとなんとかなるだろうという
慢心が生まれることがあります。
もちろん上記判例の税理士は
そうでなかったと思います。
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