ロータリークラブ会費の経費性
経営者様にとって、出会いとお付き合いは営業の基本だと思います。
人づての紹介が、思わぬ売上に繋がったというお話もあるでしょう。
そんな中、地元の名士の方たちが参加する交流団体として、
ロータリークラブやライオンズクラブなどが有名です。
様々な業種の方たちとの交流を図るべく、
ロータリークラブ等の会員になられている方も多いかと思います。
今回はそんなロータリークラブの会費が、
「個人事業主の必要経費に該当するか否か」を検討します。
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所得税法では、もうけから経費をひいた残りの利益(所得)に対して課税をします。
経費が大きければ大きいほど利益は少なくなりますので、
結果として、所得税額も小さくなるため、
「経費として引けるものはなんでも引きたい!」と誰もが思うところでしょう。
しかし、何から何まで経費で引けるとしたのでは、
所得税が成り立たなくなってしまうので、
法は、一定の経費しか収入から引くことを認めていません。それが「必要経費」です。
人間、生活している以上、食費、衣服費、医療費、教育費など、
多種多様な経費がかかりますが、
所得税の計算の際に引けるのは、その中でも事業に「必要」なものだけです。
所得税法第37条1項では、「必要経費」について次のように定めています。
必要経費は・・・総収入金額に係る売上原価その他そう収入金額を得るため直接に要した費用の額
及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする
要するに、必要経費とは、「収入を得るために直接要した費用」、
及び「その年の販売費、一般管理費等、業務に関するもの」とされています。
こうした条文を踏まえ、
多くの裁判例などでは、経費には「事業との直接関連性」が求められるとしています。
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前置きが長くなってしまいましたが、
ロータリークラブの会費は「必要経費」として、収入から引くことができるでしょうか?
答えは、原則できません・・・
「ロータリーでの出会いが売上獲得に貢献してるじゃないか!」
と言いたくなりますが、残念ながら裁決では、必要経費性を否定しました。
(裁決とは、国税版の裁判のようなものです。)
平成26年3月6日裁決では、
あるロータリークラブに加入している司法書士の先生が、
「司法書士業務は、人とのつながりが特に重要であり、
紹介により仕事を獲得することが多いものであるところ、
営業活動の一環として、ロータリークラブに入会し、顧客を獲得している。」
として、ロータリークラブの会費の必要経費性を主張しました。
しかし、裁決では、司法書士の業務を「登記手続等の代理」とした上で、
「(ロータリーの)活動は、・・・司法書士業務と直接関係するものということはできず、
また、例会や親睦会等の活動を社会通念に照らして客観的にみれば、
その活動が司法書士としての業務の遂行上必要なものということはできない。」
として、必要経費性を認めませんでした。
すなわち、司法書士の業務と、ロータリーの活動は
直接的な関係を認めることができないので、必要経費とはいえないとしたのです。
たしかに、司法書士業務において、人の繋がりは大切かもしれませんが、
だからといって、全ての司法書士がこぞって加入している訳ではなく、
売上との関係性は不明瞭であるというのが、裁決の論理です。
「必要経費」に該当するか否かの判断は時として判然としません。
税務調査でも、私的経費との区別は指摘される可能性も高くなります。
次の機会では、「医師会会費の必要経費性」を検討します。
色々な事例をもとに、税務相談を承ります。
中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!
(記事・うすくら)
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