ホーム > ブログ未分類

振り込め詐欺と確定申告

2014年11月04日(火)2:45 PM

警察庁の発表によりますと、

 

今年1~7月の振り込め詐欺などの被害総額が300億円を超えたといいます。

 

過去最悪だった平成25年は、1年間で約490億円の被害総額だったそうですが、

 

今年はその昨年を大幅に上回るペースのようです。

 

実際、実家の祖母にオレオレ詐欺の電話が来たこともあり、身近であることを実感致しました。

 

 

 

もし振り込め詐欺に騙されてしまった場合、

 

税務上何か特別な措置を受けることができるでしょうか?

 

当ブログ、2014年10月17日付「台風被害に遭われたら」http://minato-tax.com/3260で触れた

 

雑損控除」の適用を受けることができるかどうかが問題となります。

 

 

*********************

 

 

雑損控除とは、災害・盗難・横領にあった際

 

その被害額相当を、儲けから引くことができる制度です。

 

災害等の被害にあわれた方は、担税力が小さくなってしまうので、

 

所得税を安くしてあげましょうというのが、雑損控除の趣旨です。

 

 

 

こうした、趣旨から考えると、

 

振り込め詐欺での被害額も、雑損控除を適用できるようにも思えます。

 

しかし、残念ながら、今のところ振り込め詐欺被害は雑損控除の対象外です。

 

 

 

騙されてお金を取られたのに、税金も安くしてもらえないとは

 

泣きっ面に蜂」状態ですが、こちらに関しては、裁決で一定の結論が出てしまっております。

 

(裁決とは、税務署の処分に納得がいかないときの不服申立に対して

 

国税不服審判所という機関から出される判決のようなものです。)

 

 

  *********************

 

 

本件裁決では、要約次のように述べ、

 

振り込め詐欺の雑損控除適用を認めませんでした。

 

 

 

1、犯人が指定した口座に3回にわたり振込みをしたこと自体が、

 

被害者の意思に基づいてなされているから、「災害」には当たらない

 

 

2、振込み自体は被害者の意思に基づいてなされているから、

 

「盗難」による損失にもあたらない

 

 

3、「横領」とは、他人の物を預かっている人が、

 

所有者でなければ許されない処分をすることをいうが、

 

振り込んだ金銭の所有権は犯人側へ移っているといえるため、「横領」による損失にもあたらない

 

 

  *********************

 

 

裁決ではこのように示され、

 

振り込め詐欺による損失は、災害・盗難・横領のいずれによる損失でないため、

 

雑損控除の対象とはならないとされました。

 

被害者には少し厳しい取り扱いのように見えますが、

 

振り込め詐欺の場合、「振り込む」行為に一度は被害者の意思が関わっているため、

 

不測の災害損失のための雑損控除とは、土俵が違うと考えられているようです。

 

 

 

なお、クレジットカードをスキミングされたことにより、

 

不正な現金引き出しや、カード利用をされた際には、雑損控除の対象となります

 

これは、そもそもカードの「盗難」に遭ったという事実があって、

 

カードの盗難=現金の盗難と同視できるからといわれています。

 

 

 

雑損控除にはこういった似たようで取扱いが異なる論点が多いのですが、

 

次回機会があれば、

 

耐震偽装工事と雑損控除の適用、

 

アスベスト除去工事と雑損控除の適用について触れたいと思います。

 

 

 

確定申告のお悩みごとは、

 

中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!

 

 

(記事・うすくら) 

ビール税の見直し実現か??

2014年10月31日(金)1:08 PM

24日、自民党税制調査会の野田毅会長が、

 

「酒税の見直しに着手する」旨を公明党税調幹部に伝えたそうです。

 

政権与党の自民・公明等の税制調査会が合意となれば、

 

来年平成27年度税制改正大綱に、

 

ビール税の見直しが盛り込まれる可能性が濃厚になってくると思われます。

 

 

 

ビールの代替品としては発泡酒が有名ですが、

 

近年の第三のビールなど、発泡酒よりもお手軽なビールテイスト飲料が増えています。

 

どれが一番好きかはさて置き、

 

次々開発される新しいテイスト飲料には酒税という税金が大きく絡んでいます。

 

そもそも何をもってビールとするか、

 

何が日本酒で、何が焼酎で、何がスピリッツなのか・・・

 

酒税法では、これらを製造方法などにより区分し、

 

お酒の種類ごとに税率を決めています。

 

「税金とお酒」は切っても切り離せない関係にある訳です。

 

 

*********************

 

 

たとえば、現在350ml一缶あたりの酒税は、

 

ビール77円、発泡酒47円、第三のビール28円になっています。

 

これらの税額からも分かるように、

 

一本あたりの販売価格に占める税額はバカになりません。

 

価格競争に乗り遅れぬようメーカーは税負担の安い新酒開発に取り組み、

 

「同じ味なのに、違うお酒」を開発することで、節税を行っています。

 

 

 

ビールテイストなのにビールじゃない発泡酒、

 

次いで、発泡酒でもない第三のビールが登場した背景には税制の影響があります。

 

ちなみに、昔ビールっぽいお酒として

 

ホッピー」が発売された理由の一つも税制の影響と言われています。

 

 

 

一方、酒税収入は国税総収入の3%にも相当するといわれておりますので、

 

国からすると酒税を諦めることはなかなかできません。

 

ビールの売上が落ちてくると酒税収入も落ちてきますので、

 

今度はその新酒にも増税を行ってきます。

 

増税されたらせっかく作った新テイスト飲料も値上げを余儀なくされてしまいます。

 

そこでメーカーはさらなる節税新酒の開発に取り組み・・・

 

逃げるメーカー、追う国のイタチごっこは続きます。

 

 

 

こうした、イタチごっこが続いている現在のビール業界ですが、

 

今回の野田税調会長の発言も、こうした歴史の繰り返しといえるでしょう。

 

 

  *********************

 

 

そもそもの税の考え方として、「租税の中立性」というものがあります。

 

「税金は市場競争に影響を与えてはいけない」という税の大原則です。

 

本当はビールが飲みたいのに、酒税のせいで発泡酒で我慢する

 

現在の状況は、大原則からすれば、たしかに歪んでいるのかもしれません。

 

 

 

こうした大義名分のもとで税制改正がなされれば、

 

恐らく発泡酒、第三のビールが増税となりそうです。

 

その一方、中立の観点から、ビールに関しては少し減税との噂もありますが、

 

詳しいところは蓋を開けて見ないとわかりません。

 

個人的には第三のビールも好きなので、増税には反対したいですが・・・

 

 

 

最新の税制改正に対応しています。

 

中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!

 

 

(記事・うすくら) 

政治資金の闇と法人税

2014年10月28日(火)1:44 PM

政治資金問題で二人の大臣が同日辞任するという異例の事態、

 

前経済産相小渕優子氏と、前法相松島みどり氏の後任も即日決まりましたが、

 

経済産相の宮沢洋一氏にも怪しげな支出が・・・

 

大切な国会が滞らぬようお願いしたいところです。

 

内閣支持率が急落している中で消費税増税ができるのか注目です。

 

 

 

さて、こんな政治と金の問題、

 

法人税法の制度においても垣間見るところがあります。

 

すなわち、「使途秘匿金」といいまして、

 

企業から政治家等への違法献金を経費にしないため特殊な制度です。

 

(今回の政治問題とはやや趣旨が異なりますが・・・)

 

 

*********************

 

 

そもそも、法人税の計算は、売上から経費を引いた儲けを算出し、

 

その儲けに対して税率を掛ける仕組みとなっていますが、

 

経費にできるかできないかは、基本的に、「事業に関係するかしないか」で判断されます。

 

 

 

事業に関係するなら経費事業に関係しないなら対象外へ、

 

これが基本ルールです。

 

例えば医院やお店の地代家賃、事務所スタッフのお給料などは

 

事業に関係しますので当然経費になります。

 

一方で、ご自宅の家賃や、お子様の教育費などは、

 

事業に関係ないので経費にならないわけです。

 

 

  *********************

 

 

さて、それを踏まえた上で「使途秘匿金」に話を戻しますが、

 

使途秘匿金とは、会社の支出のうち、相当の理由がないにもかかわらず、

 

相手方の氏名、所在地等、その支出理由を帳簿に記載していないものをいいます。

 

 

 

要するに「使途秘匿金」との文字通り、

 

使い道が秘密にされている出費です。

 

誰に、何のために使ったのか全て内緒の秘密経費、怪しい匂いがプンプンします。

 

 

 

そこで法人税法では、こうした使途秘匿金がある時は、

 

その金額を経費の額にできないこととしています。

 

たとえば1,000万円の売上があって、800万円の秘匿金がある場合、

 

1,000-800=残り200万円に対して法人税を課すのではなく、

 

1,000万円全体に法人税を課するというルールを設けています。

 

 

 

しかも、このルールのすごいところは、

 

使途秘匿金の金額に対して、さらに追加課税がされるというところです。

 

その額なんと40%

 

つまり、上の例の場合、800万×40%の320万円が追加で課税されます。

 

 

  *********************

 

 

そして、追い打ちをかけるように、地方税もこれに付随してきます。

 

地方税は法人税額に連動しますので、

 

地方税も合わせると、約90%の追加課税を受けることになります。

 

 

 

もちろん、税務調査で使途秘匿金が発見された場合には、

 

各種加算税の対象にもなりますので、

 

出費の100%以上の税金が課されることもございます。

 

以上のとおり、「バカらしいから、裏金なんてやめよう」と思ってくれればいいのですが、

 

政治と金の問題はなかなか無くなりそうにありません。

 

 

 

「クリーン」な税務会計については

 

中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!

 

 

(記事・うすくら) 

台風被害に遭われたら

2014年10月17日(金)5:04 PM

今年は台風が少ないなぁなんて思っていたら、

 

シーズン終盤で駆け込み台風となりました。

 

18号も19号も示し合わせたかのように

 

休日に襲いかかってきて、

 

せっかくのレジャーが台無しになった方も多いのではないでしょうか。

 

 

 

 

大型台風でレジャーが中止になるくらいなら、なんとか我慢できますが、

 

家や車が壊されるなんてことになれば、それこそ大変です。

 

たとえば瓦が吹き飛ばされたり、窓が割れてしまったりすれば、

 

修理代もバカになりません。

 

 

 

そこで、災害に遭われた方のため

 

少し税金を安くしてあげましょうという制度があります。

 

これが所得税における「雑損控除」です。

 

   

*********************

 

 

所得税は収入から経費を引いた儲けに税率を掛けて算出しますが、

 

雑損控除とは、災害・盗難・横領にあった際

 

その被害額相当を、儲けから引くことができる制度です

 

儲けから被害額を引いた残りに対して、税率を掛けることになるため、

 

少し税金が安くなるという仕組みです。

 

 

 

しかし、この被害額相当の計算にはややこしいルールがあります。

 

ここで全てをお書きすることはできませんが、

 

とても平たくまとめると、

 

①修理代等のうち、自身の儲けの10%を超える金額

 

②修理代等から5万円を引いた金額

 

これのどちらか大きい方の金額を、儲けから引くことができます

 

 

 

例えば、屋根の修理で30万円かかったのなら、

 

25万円程度を儲けから引いて所得税の計算ができるイメージです。

 

逆に、5万円を超えない程度の修理代だと、

 

雑損控除の適用は受けることができません。

 

 

  *********************

 

 

このブログで何度か書いておりますが、

 

所得税とは「担税力」に着目して課される税金です。

 

担税力とは、すなわち税金を負担するパワーをいいます。

 

災害等の被害にあわれた方は、納税パワーが小さくなってしまうので、

 

所得税を安くしてあげましょうというのが、雑損控除の趣旨ですが、

 

計算がややこしく、やや使勝手が悪いのが欠点かもしれません。

 

とはいえ、災害被害にあわれ多額の出費を余儀なくされた方は

 

一度雑損控除のご検討をしてみるのもよろしいかと思います。

 

近いうちに、オレオレ詐欺と雑損控除についても書きたいと思います。

 

よろしければ、ぜひご覧ください。

 

 

 

所得税計算については

 

中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!

 

 

(記事・うすくら) 

帳簿揃えてありますか?

2014年10月10日(金)5:23 PM

帳簿作成と言われると、嫌気がする方も多いかと思われます。

 

領収書を一枚一枚整理して、入力して・・・

 

・・・終わったと思ったら金額が合わない・・・

 

そんな面倒な帳簿ですが、

 

今年平成26年分からは全ての事業者に帳簿作成義務が課されることになりました。

 

 

  *********************

 

 

青色申告の方には従来から帳簿作成義務がありましたので、

 

大きく違いはありませんが、

 

これからは白色申告している方にも義務がありますので注意が必要です。

 

「面倒だから白色申告でいいや」とご自身で確定申告をされていた方も、

 

これを機に青色申告を検討されてみてはいかがでしょうか?

 

どうせ帳簿を作るなら、青色申告の方が断然お得です。

 

 

  *********************

 

 

青色申告のメリットは色々ありますが、

 

たとえば、儲けの65万円までが免税になること、

 

一定の要件のもと、ご家族にお給料を出せること、

 

赤字を翌年に繰り越せることなどが大きなメリットと言えるでしょう。

 

一方、白色申告のメリットとしては、

 

青色申告に比べれば多少記帳等が簡単というところだと思われます。

 

しかし、ここで注意しなければならないのは、

 

白色申告のデメリットである「税務調査の推計課税」というリスクです。

 

 

  *********************

 

 

 

税務調査は、青色白色申告を問わず、

 

基本的に帳簿を基礎として行われますが、

 

その帳簿に不備がある場合

 

「しっかりとした調査ができない」という理由で、

 

税務署から儲けを推定計算されてしまいます

 

「帳簿が無くて利益が分からないけど、大体これくらい儲けてるんですよね??」

 

と税務署にざっくり計算されてしまうのが、「推計課税」です。

 

青色申告の場合には、基本的にこの「推計課税」を受けないことになっていますが、

 

白色申告の場合にはこの「推計課税」リスクがございます。

 

推計課税を受けてしまった場合、それを覆すのはなかなか難しいのが現実です。

 

帳簿がない以上、相当の裏付けがないと難しいところです

 

税務署側から推計課税をされないように、

 

日々適切な帳簿を作成しておくことが大切です。

 

 

 

医院の特殊経理、帳簿記帳も承ります

 

中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!

 

 

(記事・うすくら)

外形標準課税の拡大決定か??

2014年10月07日(火)1:13 PM

税金には多くの種類があります。

 

例えば所得税や法人税は、儲けに課されるものですが、

 

消費税は、モノやサービスを使う、

 

つまり消費という事実に課されます。

 

相続税は、故人から資産を引き継いだ時に課されます。

 

固定資産税は、建物や土地を持っていれば課されますし、

 

不動産取得税は、それらを買った時に課されます。

 

 

 

もちろん全ての税金に、それぞれの趣旨はありますが、

 

「担税力のあるところに課税する」

 

これが根本的な考え方です。

 

 

 

「担税力」とは税金を払うパワーのことです。

 

パワーが有り余っている人、

 

平たく言えばお金がある人には税金を払ってもらう、

 

パワーが少ない人、

 

極端に言えば子供達はほとんど税金を払いません。

 

 

  *********************

 

 

担税力という面から見てみると、

 

儲けに対して課される所得税や法人税、

 

資産をもらった人に課される相続税などは

 

割と理解しやすい税金だと思います。

 

消費税や不動産所得税は、

 

「何か買えるお金があるなら、税金払うパワーもあるよね??」

 

という考え方によるものです。

 

 

 

 

少し話は逸れますが、

 

生活用品の消費税だけは軽減税率にしようという議論がありますが、

 

これも担税力を考慮したものと言えるでしょう。

 

「たしかに食品は買ったけど、生きるために買ったんだから、

 

税金を払うパワーがある訳ではないです・・・」

 

こういう趣旨から、議論が始まっています。

 

 

  *********************

 

 

さて、担税力という視点から法人課税を考えると、

 

「赤字の会社には、本当に担税力がないのか?」という疑問が出てきます。

 

儲けがないなら、パワーなどないかもしれません。

 

でも、本当にそうでしょうか・・・??

 

 

 

大企業で、売上も多額、いっぱい人を雇用していて、

 

自社ビルなんかも持っていて、

 

でも、最終的な損益は赤字のような大きい会社があった場合、

 

それでも本当に担税力がないといえるでしょうか?

 

 

 

そこで、考え出された比較的新しい税金が、「外形標準課税」です。

 

こちらは、事業所の床面積や、給料の支払い額、

 

資本金などをもとに課税されるものなので、

 

最終的に赤字であっても税金が発生します。

 

 

 

しかし、儲けがなくても課税するという考え方には

 

多くの批判があるのも事実です。

 

そこで、外形標準税は、

 

資本金1億円超の大企業にしか課されないことになっています。

 

中小企業には課されません。

 

 

  *********************

 

 

最近、法人税率の減税が勢いづいていますが、

 

その税収のマイナスを補填するために、

 

外形標準課税をもう少し拡大しようという流れがあります。

 

 

 

大企業からすると増税になりますので、

 

経団連は当初反対の意向を示していました。

 

しかし、先月19日、「中小企業を適用対象としないこと」などを条件に

 

課税拡大を容認する考えを表明しました。

 

経団連が容認の意向を示したことで、政府与党の勢いも増すものと思われます。

 

 

 

ただ、簡単には増税できない面もあります。

 

安部首相は「賃上げ」を企業に依頼していますが、

 

給料を多く払うと外形標準課税が増加します。

 

「国の政策に従ったのに増税される」

 

この仕組みには素直には賛同できない部分があるでしょう。

 

今後の税制改正に注目です。

 

 

 

税制改正をふまえた タックスプランニングを提案します。


中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!

 

 

(記事・うすくら)

空き家と固定資産税

2014年10月03日(金)3:41 PM

住宅の需要と供給のバランスを保つため、

 

税を通じたいろいろな措置が講じられています。

 

例えば所得税では、いわゆる住宅ローン控除や、

 

住宅とその土地の売却利益の非課税枠などが用意されています。

 

住宅は生活する上で必要不可欠なものですから、

 

税金も安くしましょうというのが、

 

住宅税制の基本的な考え方です。

 

 

 

一方、住宅ではないもの、

 

例えば店舗としての建物や、

 

短いスパンの売買目的で保有している土地については、

 

上の住宅特例が使えなかったり、

 

重課されているケースが多くなっています。

 

 

  *********************

 

 

こうした、住宅優遇税制は所得税に限ったことではありません。

 

今回のテーマである固定資産税でも、基本的なスタンスは同様です。

 

 

 

例えば固定資産税では、

 

住宅用地の軽減税率が定められており、

 

住宅用の土地は、固定資産税が安く計算されるようになっています。

 

土地の面積などにより軽減率は変わりますが、

 

更地の場合と比較して、最大で1/6程度の税金で済む場合もあります。

 

 

 

人がすんでいる土地に重い税金をかけて、

 

税金のせいでその人の生活が困難になってしまうことがないよう、

 

固定資産税でも優遇税制が設けられているわけです。

 

 

 

さて、ここで問題となっているのが、

 

空き家の土地に対する固定資産税です。

 

現在の法律では、

 

上に立っている建物が空き家であったとしても、

 

その土地には上記の優遇税率が適用されています。

 

人が住んでいなくても、空き家さえ建っていれば

 

土地の固定資産税を安く抑えられるという仕組みです。

 

 

 

街を歩いていると、

 

ずっと取り壊しされない空き家が建っていたりしますが、

 

一つの要因として、この固定資産税が影響しているといわれています。

 

 

 

相続などで空き家と土地を引き継いだのはいいものの、

 

空き家を壊して更地にすると、

 

優遇税制の対象外となってしまい、固定資産税の負担が増加します。

 

「取り壊し費用もかかるし、税金も上がっちゃうなら、

 

じゃあそのままにしておこうか」

 

こうして、あえて取り壊されない空き家が増えているのです。

 

 

  *********************

 

 

空き家は街の治安などの観点からも

 

あまり好ましいものではないので、

 

各市区町村も空き家条例などを制定して、

 

空き家取り壊しを推進しています。

 

 

 

こうした流れを受けて、

 

総務省は、来年度の税制改正要望に、

 

空き家に対する軽減措置の見直しを盛り込みました。

 

この制度改正が行われれば、

 

空き家の土地には、更地と同様の税金がかかることになります。

 

 

 

また、空き家の解体を促進するため、

 

自民党から空き家に関する法律が提出される予定です。

 

案では、空き家に対する住宅優遇税率の不適用や、

 

空き家を解体した場合の新優遇税制の整備などが盛り込まれているようです。

 

 

 

今はあえて空き家を解体しないことで、

 

税金を抑えることができますが、

 

今後は難しくなっていくかもしれません。

 

相続などで引き継いだまま空き家をお持ちの方は

 

今後の改正に注意していきましょう。

 

 

 

相続、法改正にも対応します。


中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!

 

 

(記事・うすくら)

差押え物件はネットオークションで!

2014年10月01日(水)3:29 PM

税金を滞納するとどうなるでしょうか。

 

少額の税金ならまだしも、

 

多額の税金となると国税庁も黙っていません。

 

そうなったときの国税庁の最終手段は「差押え」です。

 

 

 

滞納した税金の額に達するまで、

 

価値ある資産ならなんでも差押え対象となります。

 

生きていくための必要最低限のもの、

 

例えば最低限の衣服や、生活用品以外は差押え対象です。

 

預金口座が凍結されてしまったり、

 

売上金額やお給料も一部差押えられてしまったり…

 

 

 

もちろん、不動産や、宝石、美術品、毛皮のコートや車

 

住んでいる家も退去させられるケースもあり得ます。

 

 

 *********************

 

 

差押えられた資産は国税庁により競売にかけられますが、

 

最近では、なんと楽天オークションでも競売されています。

 

楽天サイト内に官公庁オークションという専用ページがありますが、

 

見てるだけでもなかなか面白いです。

 

なお、これは官公庁オークションなので、

 

国税庁だけでなく、市区町村や、年金事務所なども出品しています。

 

 

 

ちょうど現在進行中の官公庁オークションを覗いてみますと、

 

目玉商品は2,300万円スタートのダイヤモンドでした。

 

(既に5,300万円まで上昇中…)

 

 

 

その他にも、

 

大阪の土地付きビル、現在9,600万円、

 

漁船142万円、

 

株式、ゴルフ会員権、リゾート会員権などなど、

 

オークション結果が気になるものばかり。

 

 

 

個人的には、

 

任天堂Wii 5,400円

 

ドラゴンボール1~34巻セット他 10,000円、

 

スコッチウイスキー4本セット 5,000円など、

 

庶民に優しいオークションが気になりました。

 

 

*********************

 

 

なお、官公庁のオークションは

 

普通の楽天オークションとは少しルールが違い、

 

事前の申込み期間中に参加申請が必要なようです。

 

年に数回行われるそうなので、

 

随時チェックしておくといいかもしれません。

 

 

 

最後に、余談ではありますが、

 

現在私が借りているマンションは、

 

過去、とある人が差押えを受け、競売にかけられ、

 

現在の大家が落札した経緯があるそうです。

 

(不動産については登記が行われますので、

 

謄本を見たら記録が残っていました。)

 

 

 

意外に身近な差押え


うまく利用するのも面白いかもしれません。


 

 

タックスプランニングにつきましては、


中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!

 

(記事・うすくら)

日本医師会の税制改正要望2

2014年09月08日(月)3:55 PM

先日、日本医師会が公表した


平成27年度医療に関する税制改正要望」の全26項目。


前回のブログで、「消費税の還付請求を認めよ!」という記事を紹介しました。


今回は続いて、「がん検診と医療費控除」について紹介したいと思います。



*********************


第二回 「がん検診は医療費控除対象外?!」


日本医師会要望では、


患者さんの健康予防に資するための改正要望も含まれておりました。


早期発見が何よりといわれる、がん。


国としてもがん検診の受診率向上を目指しているようですが、


実は、原則として、がん検診費用は医療費控除の対象となりません




そもそも医療費控除とは、


病気になってしまって多額の医療費がかかった年において、


所得税や住民税を減額するための制度です。

 

イメージとしては、


お給料などの収入から医療費を引いた残りに対して

 

税率を掛ける仕組みになっています。


 

 

しかし、原則として、がん検診はこの医療費控除の対象とはなりません。


なぜなら、所得税法上、医療費とは


医師又は歯科医師による診療又は治療の対価等とされており、


要するに病気や怪我を治すための支出が医療費とされているためです。


そのため、がん検診や人間ドックなど、


何かを治療するわけではない支出は、医療費控除の対象にならないのです


同様の理由で、風邪薬は控除の対象になりますが、


栄養ドリンクは控除の対象になりません。




しかし、がん検診や人間ドックなども、次の場合には医療費控除の対象となります。


すなわち、健康診断の結果、

 

重大な病気が発見され、その病気の治療を行った場合です。


この場合、治療に先立つ診察と同様に考えることができるので


その健康診断のための費用も、医療費控除の対象に含まれます。


なお、治療中の検査費用は、もちろん医療費となります。



***********************



「病気が見つかったなら医療費控除の対象としていいですよ」


現在の医療費控除の制度はこうした考え方に立つわけですが、


がん対策基本法などの理念に沿えば、


がん検診への税制優遇措置が認められてもいいのかもしれません。




なお、がん検診は消費税の課税対象となりますので、


社会保険料報酬とは経理方法が異なってくることがあり、


医院の経理でも注意が必要な項目の一つです。


 

 

医院の税務・会計につきましては、


中田税理士事務所にお気軽にご連絡ください!

 

(記事・うすくら)


日本医師会の税制改正要望

2014年09月05日(金)11:33 AM

税制改正にあたっては、関係団体からの改正要望が出ることもしばしばです。


もちろん全ての要望が反映されるわけではありませんが、


自動車業界が、自動車取得税の廃止を訴えたり、


飲食業界が、消費税の軽減税率の制度導入に賛成するなど、


それぞれの業界が税制上の不利益を被ることのないよう、


必死にアピールをしています。




先日、日本医師会も「平成27年度医療に関する税制改正要望」として、


26項目を公表致しました。


上述の通り、全ての要望が認められるわけではありませんが、


有利な改正が進むことを期待したいところです。




さて、これから数回に分けて、代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。



*******************



第一回 「消費税の還付請求を認めよ!」



収入の多くを社会保険診療報酬が占めている病院はとても多いかと思いますが、


社保報酬は、国民福祉の観点から消費税が「非課税」とされています


こうした制度が病院経営を圧迫しているのでは?というのが、この問題です。


そもそも消費税は、預かった消費税から、


自分が支払った消費税の差額を納付するという制度です。




例えば、税込864円(税64円)で商品を仕入れて、


税込1,080円(税80円)でお客さんに売上げたとしましょう。


消費税の金額に着目すると、


まず仕入れの際に、64円の消費税を支払っています。


一方で売上げの際に、80円の消費税を受け取っています。


つまり、64円の全額をお客さんが負担してくれているので、


預かりすぎた16円を納付するのが消費税の仕組みです。


80円はお客さんから預かっているものですので、


こちらが負担する消費税は実質的には0ということになります。




しかし、医院の場合はこれができず問題となっています。


上の例の売上げを、社保診療報酬として考えてみます。 


税込864円(税64円)で医療品を仕入れて、


患者さんなどから1,000円(非課税)の診療報酬を受け取ったとします。


消費税の金額に着目すると、


まず医療品仕入れの際に、医院は64円の消費税を支払っています。


これは上の例と同じです。


一方で売上げに注目してください。


社保診療報酬は非課税のため、患者さんなどから消費税を受け取っていません。


つまり、64円は医院の負担になってしまっているのです。



**********************



「国民福祉のためとは言え、これはいくらなんでもおかしいんじゃないの??」


日本医師会の主張はここにあります。


今後消費税が10%になれば、


それだけ医院の資金繰りを圧迫することにもなりかねません。


患者さんの負担を増やすことなく、


医業経営の改善に資するような消費税還付制度の改正が望まれます。




次回は、がん検診と医療費控除について紹介します。


上述の通りですが、こちらの税制はあくまで「要望」です。


決まったものではありませんので、十分にご注意下さい。


現在のルールの中での節税については


 

中田税理士事務所 にお気軽にご連絡ください!


(記事・うすくら)

 

« Prev - Next »